固定ダイヤル錠とは
固定ダイヤル錠(固定変換ダイヤル錠)は、日本の家庭用耐火金庫で広く使用される機械式の錠前です。 0〜99の目盛りが刻まれたダイヤルを、決められた番号と手順で回転させることで開錠します。
電子錠と異なり電源不要で、適切にメンテナンスすれば数十年以上使用可能です。 番号の組み合わせは工場出荷時に設定され、通常は変更できません(固定式)。 4枚座の場合、理論上の組み合わせは100万通り(100⁴)となります。
正しい操作手順(右回転→左回転の交互)と、各番号での正確な通過回数が 両方揃って初めて開錠する仕組みです。
固定ダイヤル錠はダイヤル錠の中でもっともシンプルな構造を持ち、それほど高い安全性は持ちません。
固定ダイヤル錠の構造
主要部品
- 目盛盤(つまみ):0-99の目盛りが印字された操作部、直径が大きいほど高級
- 表座(指標つき台座):赤い指標または切り込み線付きの台座、基準位置を示す
- 第1〜第3ディスク:各ディスクにゲート1個とツク2個を配置(第2・第3ディスク)
- ドライビングディスク(駆動座):目盛盤と芯棒で直結、他より大きく、ツク1個
- 芯棒:ドライビングディスクのみと接続、パイプ内を通る中心軸
- テンションスプリング:各ディスクを密着させ、ツク同士の接触を保つ
- L寸法:表座からドライビングディスクまでの距離、扉厚より大きく必要
芯棒を介してドライビングディスクのみが目盛盤と直結し、最初にドライブされます。 他ディスクはテンションスプリングで密着し、各ディスクのツク(突起)同士が当たりながら順次回転を伝達。 バネが弱くなるとツクが空回りして故障の原因となります。 4つのゲート(切り欠き)が一直線に揃うと閂を引き込んで開錠します。
開錠メカニズム
固定ダイヤル錠が開錠する理由は、4つのゲート(切り欠き)が一直線に揃うことで フェンスという部品が落ち、閂(かんぬき)を引き込めるようになるからです。
図1:施錠状態
ゲートが揃っていないため、フェンスが上がったまま。閂が出て扉は開かない。
図2:一部のゲートが揃った状態
一部のゲートは合っているが、全てが揃っていないためフェンスは落ちない。
図3:完全解錠状態
4つ全てのゲートが一直線に揃い、フェンスが落ちて閂を引き込める。
💡 重要:正確な手順で操作することで、4つのディスクのゲートを順次正しい位置に配置し、 最終的に一直線に揃えることができます。これが「正規の開錠」の原理です。
操作法
固定ダイヤル錠(4枚座)は、第1〜第3ディスク+ドライビングディスクの 4つのゲートを一直線に揃えるとフェンスが落ち、閂を引き込めます。
- ① 右(R)に4回以上まわして、1番目の数値で停止
- ② 左(L)に3回まわして、2番目の数値で停止
- ③ 右(R)に2回まわして、3番目の数値で停止
- ④ 左(L)に1回まわして、4番目の数値で停止
⚠️ 重要:「○回まわす」はその番号が指標を○回通過するという意味です。「0」を○回通過させるのではありません!
例:「右に4回まわして10で停止」= 10が指標を4回通過してから停止(3回通り過ぎて、4回目はピッタリ止める)。回し過ぎたらやり直し。
自動実演パターン
ダイヤル操作
ドラッグ/← → / A D で回転。数字は 0–99。