ジグザグ暗号(Zigzag Cipher)は、文字列ではなく点と線(折れ線)を暗号文とする
幾何学サイファの一種です。
鍵(アルファベット配列の紙)に沿って平文文字の位置に点を打ち、隣接点を結んでいくことで、
折れ線が得られます。鍵を外すと、第三者には単なるジグザグ線にしか見えません。
- 分類:江戸川乱歩「暗号記法の種類」における 線代用法
- 起源:チャールズ1世の発明説がある一方、古代ギリシアのアイネイアスにも類似の着想が見られ、起源は確定的でない
- 鍵の自由度:配列は任意(順列・不規則・欠落・重複すべて可)
- 縦配置・横配置は本質的に同じ
| 暗号方式 | 分類 | 暗号文形式 | 鍵 | 解読難易度 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| ジグザグ暗号 | 線代用法 | 折れ線・座標 | アルファベット配列 | 中 | 視覚的暗号、重複鍵対応 |
| シーザー暗号 | 単一換字式 | アルファベット | シフト数(1-25) | 低 | もっとも基本的な換字暗号 |
| 単一換字暗号 | 単一換字式 | アルファベット | 置換表(26!) | 中 | 頻度分析で解読可能 |
| ヴィジュネル暗号 | 多表式 | アルファベット | キーワード | 高 | 周期性が弱点 |
| プレイフェア暗号 | 多表式 | アルファベット | 5×5格子 | 高 | 2文字組での暗号化 |
| 四方暗号 | 多表式 | アルファベット | 4つの5×5格子 | 高 | プレイフェアの拡張 |
| レールフェンス暗号 | 転置式 | アルファベット | レール数 | 低 | ジグザグ配置での転置 |
| 棚暗号 | 転置式 | アルファベット | 列順序 | 中 | 矩形配置での転置 |
- 唯一の「図形暗号」として、文字ではなく座標・線分が暗号文
- 視覚的暗号として、数学的解読よりも幾何学的復元が必要
- 重複鍵により、単一換字と多表式の特性を併せ持つ